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Media asset #1
Danbooru

Artist's commentary

#NegaResurrectionPLR P011

シリーズ:novel/series/8632277

P011 深き水底のプラネテス

「惑う者?」
そう、漂う者、惑う者、プラネテス。
彼らは自力で遊泳する力を持ち合わせていない。
海底深くで眠りにつく、定義的にはプランクトンと大差ない存在。
「その漂うモノを探索に行く隊が組まれることになってさ、これ新造の潜水艦、見た目可愛いよね」
「名前は?」
「ボイジャー」
「あら素敵、縁起もいいじゃん、でそのクソデカプランクトンは人類の何に役に立つの?」
「んー、役に立つかは、正直、微妙かな」
濁る言葉。
惑う者たちが生命の起源の解明に意味を持つという人たちもいる。
いわゆるアミノ酸はどこから生まれたか、というお題目に対し漂う者たちのアミノ酸が地球に給されたという論説は、結局のところパンスヘルミアの一種でしかなくそもの起源の解明にはなりえない。
本当の問題は彼らがアミノ酸を持っているという可能性に行きつく過程にて発生した。
1994年、太平洋上の漁船の網に腐敗の進んだ巨大な肉の塊のような物が引っかかった。
関係者の中でエピソードゼロと呼ばれるこの事件は最終的には漁船の船員、そしてその死肉を調べたカリフォルニア・エクリプス海洋研究所の担当職員全員の失踪という形で幕を下ろしている。
失踪というのは解りやすい言い方で消滅と言ってしまった方が事実に近く、さらに言うのであれば何も解らないが全員居なくなったというのが正しい。
腐肉のほとんどは船員が海に捨ててしまっていたが、たまたま調査で同行していた研究室職員がその一部をサンプルとして採取し持ち帰っていた。
ただそのサンプルも研究員の失踪と共に所在が不明となり、その過程で発生し残された研究成果のみが宙に浮いた形で明確な信ぴょう性もないままに独り歩きをしている。
ジーニアス10の一人、ヘルマー教授の言葉に「物語の始まりには鯨が流れ着く」というモノがある。
鯨は比喩的な物であり、これは有事の発端が外部のストレンジャーの意図しない侵入によって引き起こされる事に起因している。
惑う者、とはそういった異常性アノマリーの総称であり、それらの意志を我々が測る事は困難であるにせよ、性質上意図しない形でそれが人のテリトリーに流れ着く可能性があることを示している。
ボイジャー号はそれら海底に存在すると思われる複数のアノマリー探索に用いられる。
彼らが流れ着いた鯨となって物語が始まる事が無いように。
その動向や現在の位置、そして場合によってその対処プロトコルを作成するための調査として今回各部門の専門的が招集されている。
「なるほど、概要は解ったけど正直気乗りはしないなぁ、アタシただの客員教授だし、危険そうだし、未婚だし、君みたいな使命感は無いよね」
「だよね、解る、私も未婚だけど」
「まぁ、ただ乗ってやらない事もない、条件」
「なになに?」
「ちょっと待ってもったいぶるから」
彼女はスマートフォンを操作して何かを調べていた。
食事か、服か、彼女の趣味なんだったか、今月のサイフの薄さを思い出して彼女の乗船を断ろうかと思いがよぎった。
「ああ、これこれ見てよ、この本」
彼女が向けた光は薄暗い部屋ではまぶしく、私は一瞬目を閉じた。
そこで、そして目が覚めた。
辺りはまるで深海のように暗かったが一点、強く小さな光が近くにあった。
目の前に小さな機械のような物が漂っていて、それがこちらをしきりに照らしている。
そこには人間の言葉でボイジャー2と書かれている。
そこには消息を絶ったボイジャー1号の捜索、ブラックボックスの回収をするための隊が組まれている。
私はそれを漂いながら見ていた。

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