
Artist's commentary
Project "Blue sphere" 4
どんなに工学が発達し、データな世の中になっても、所詮現場はマンパワーで回っている。宇宙の真空などの極限環境では機械の方が多くを占めるものの、海などの地球環境下、機械がそれに耐えるためには様々な対策を必要とし、資金的なものを鑑みてあまり大規模な現場機械化・・・要するにロボットが闊歩するような事はこの時代になってもなかった。AIブイが静かに海面をぷかぷか浮いている。波も穏やかで、聞こえてくるのは波のちゃぷちゃぷと言う音と、「すー・・・すー・・・」と言う少女の寝息。 回路に規則正しい波長を刻むそれらの音にAIブイは、ぱちくり、ぱちくりと人間が瞬きをするように、ソーラーパネルも兼ねたヘッドディスプレイ上に表示した「目」を明滅させる。コミュニケーションのし易さを考えて採用された「目」による表情の機能は、少女とのコミュニケーションが円滑に進む(一度表示せずにしていたら、少女に「どこを見ているか分からなくて、なんだかいやらしい」と言われた)ので、AIブイは特に注文が無い限り常時その機能をONにしていた。ちらりと白い桟橋のような柔軟性のあるハイブリット材の上に横たわる少女を見やる。いつもコロコロと表情を変える、感情豊かな少女が口をぽかーんと開けて、あろうことかつーっとだらしなくヨダレを垂らしながら眠りこける姿は、かなり間抜けで笑えるものだったが、あいにくAIブイにはそれを「可笑しい」と思考する程高度な機能は備わっていなかった。AIブイは少女の顔を真似て、ディスプレイの目を横一線の棒に替えると、少女の音声入力をその表示に連動するようにした。すると、少女の寝息に合わせて、高精彩なドットの集合体である2本の線がふにゃふにゃと動き、それはまるでAIブイが少女を見て破顔しているように見えた。AIブイとしては、少女のバイタルデータの一部を自身のディスプレイに投影するというお遊びだったのだが、その様子を第三者の視点で見たならとても微笑ましく映った事だろう。”とびうお”を使わないと来れない、ちょっと距離のある現場での昼休み、少女はこの場所でお昼寝をする事が密かな楽しみだった。肌にぴったり張り付いたスーツが、汗と水を表層に押し出して体を心地よくドライに保ってくれる。その際、うっすら肌が透けてしまう仕様もここでは恥ずかしくなかった。「うぅーん・・・むにゃむにゃ・・・」少女の声に、AIブイがまた破顔した
Comments
Leave a comment