
Artist's commentary
深紅の瞳
私には好きな騎士がいた。家柄の平凡さと、女性であることから地位は低かったが、優しく正義感が強い性格、風になびき輝く長い金髪、そして世に珍しい燃えるような深紅の瞳に惹かれた。周囲の騎士が政治事や立身出世ばかり気にしている中、私達は意気投合し、お互いの目指す世界について語り合った。
我が国は、敵国に占拠されたかつての首都を取り戻すために多くの兵力を投じ、大規模な奪還戦を行った。しかし、敗退し多くの未帰還者を出す結果に終わり、彼女もその一人となった。
急速な拡大を目論む敵国は、首都で捕らえられた市民、投降した俘虜を次々と自国の労働力に加える方針を取っていたが、待遇は非常に劣悪で、隷属階級同然に扱われた。なので私は、彼女に生きていてほしいと思う気持ちがある反面、彼女なら投降せずに自ら死を選んだか、戦場で華々しく散ったに違いないと自分に言い聞かせ、死んだ者と思うことした。
5年後、敵国が内部分裂で弱体化したことを利用して我が国は2度目の奪還戦を開始し、無事に首都を取り戻すことに成功した。さらにこの戦いで多くの兵力を失った敵国を、その後の掃討戦によって滅ぼし、長い間囚われていた人々は全て解放されることになった。
しかし、当面の危機が無くなった我が国はかつての国威を取り戻すことに専心し、敵国に支配されていた人々に対しての救済措置は薄く、多くが環境が大きく変化することもなくそのまま下層社会に留まり、他の国民からの彼らに対しての差別感情も色濃く残ることになった。
ある日、知り合いの騎士達に娼館に誘われた。彼ら曰く貧民街奥の娼館はかつて敵国に囚われた女の中で公娼として選出された娼婦がほとんどだから、非常に質が高いとか。彼らの言動に憤りを感じつつも下層の人々の現状を一度この目で確かめなければいけないと思い、金だけ払って何もしない予定で行くことにした。想像以上にけばけばしい空間に目眩がしつつ、個室に案内された。
「素的な方、よろしくお願いしま.... え? え....」
今では私しか覚えていないであろう深紅の瞳がそこにあった。
(「くっ殺せ」の真逆ってなんだろう?と勢いで書いたものなので細かいツッコミはナシでお願いします!
後ろ髪をばっさり落とした髪は、斬首の暗示=騎士としての死 という意味合いも込めてます)
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